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・・・すくーるらいふ。

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「あ、あのっ・・ごめんなさい!」
こばとは少し震えた声で言いながら、勢いよく頭を下げた。
藤本が黙っていると、こばとは少しだけ顔を上げて続けた。
「あの、私・・・付き合ってって意味がわからなくて・・その、一緒に帰ったり遊びに行ったり・・・その、恋人になってって意味だって、わからなくて・・きちんとお断りしていればこんなことには・・」

「お断り、するつもりだったのか?意味、わかってたら。」
こばとのことだ、どうせ断り方がわからなくて曖昧になるに決まっている。
相手を傷つけたくない。
こばとはそれくらい、人が傷つくのが嫌いで、優しすぎるほど優しい。
「え、でも恋人って好きな人となるものですよね?」
意外なほど早く、答えが返ってきた。
きょとんとして目をぱちくりさせる様子から、本気のようだ。
「好きじゃないってことか?」
確認するように聞くと、こばとは首をかしげてうなった。
「え・・っと、嫌いではないんですけど、特別な好きではなくて・・あの・・」
予想通り、こばとは翔を嫌いになったりしないようだ。
どんなにひどい目に遭っても、誰かを嫌ったりしない。
それが、こばとだ。

「特別・・か。」
ため息混じりに言いながら、覚悟を決める。
自覚してしまったらもう想いが止まらない。
もう二度と、こんなことにならないように。
俺が、守る。
俺が、こばとを・・・

守る。

「これからは、俺が一緒に帰る。・・・嫌ならいい。」
「えっ・・?い、嫌じゃなっ・・!」
言われた言葉の意味を知りたくて、そして嫌じゃないことを伝えたくて顔を上げた途端・・・

一番安心したあの場所に、再び引き込まれた。
湯上がりのほかほかした体が、いっそう温かく、いや熱くなる。

こばとの胸で、途端に跳ねた心臓が、証拠。

「俺は、お前が特別な意味で好きだ。」
翔に好きと言われたときとは明らかに違う鼓動がどんどん早くなる。
そして気づく。
「わ・・私・・もっ・・!藤本くんは、特別・・ですっ!」

言ってはじめて気がついた、お互いの熱。
自覚すると、もうずっと前からそうだったような気さえしてくる。

これ以上、なにもいらない。
そう思えるくらいお互いが、幸せだった。


「藤本くんね、自分から告白したのきっとはじめてよ。」
電気を消して、布団に入った途端清花の声がした。
そうなんですか、と聞き流しかけて・・気づいた。
「さっ・・さっきのっ・・!聞いて・・!?」
暗闇の中でも、顔が赤くなるのがわかる。
清花のくすっとした笑い声が聞こえ、余計赤くなる。
「ごめんね、だって台所で話すんだもの。悪気はないのよ。」
でも、いずれバレるんだから、と清花ののんびりとした声がする。
そして聞こえないような小さな声が続いた。
「・・・もう少し大人になるまでは、私が、ね。」
聞き返そうとしたが、言葉になる前にこばとは眠りについた。


翌朝。
夢かと思った昨日の出来事は、一番の衝撃である夜の一件も含めて夢ではなかった。
その証拠に、学校へ向かうこばとの隣には藤本が並んで歩いている。
「・・その、一応学校では・・人に言うなよ。」
そっぽを向いているが、照れていることは明らかだ。
そして今まで聞いたことのない優しい声だとわかるのは、こばとだけかもしれない。
「はい。あ、でも清花さんにはもう・・」
こばとがそう言った途端藤本が血相を変えてこばとを見た。
「い、言ったのか!?」
「い、いえっ・・その・・聞かれていた・・・らしくて・・・。」
こっちを見てほしかったが、見られたら見られたで恥ずかしくてうつむいてしまう。
清花が昨日、最後に言った言葉がなんだったのかぼんやりとしか思い出せないが。
「大人になるまでは・・なんとかって・・・おっしゃってました。」
藤本は深くため息をついて、頭を抱えた。

とはいえ。
あの一件を知っているメンバーは、明らかに態度が変わった藤本を見てすべてを察していた。
異常に温かい目でこばとと藤本を見つめることが増えていた伊織と美真と堂元そろってが声をかけてきたのはあの一件から2週間ほど経った頃だった。
「一応聞くけど、それで隠してるつもり・・・なわけ?」
いきなり核心をついてきたのは美真だ。
持っていた本を落としそうになるほど動揺した藤本が、慌ててなんのことだ、と答えたが周りは大爆笑だった。
「必死に平然装ってたけど、バレバレよ藤本くん・・!」
「こばとちゃんのほうが普通にしてるよね~!」
「お前恋愛系には疎いんだよな~」
周りにさんざん笑われたあげく、こばとまでくすくすと笑っているものだから藤本は極限まで赤くなる。
それでも、ほかの誰もいない環境で話してくれることはありがたい。
こほん、と咳払いをして堂元を睨みつける。
「・・・それより、お前らは・・?」
対象が自分たちから外れればそれでいい、と話題を別のことに振る。
堂元は美真を見てちょっと笑い、うなずいた。
「誰かさんたちと同様に、順調です。」
再び笑われ、これくらい堂々と言えるように・・なりたいようでなりたくない複雑な心境になる。

藤本とこばとがこういう関係に落ち着いたが、こばとには心配事があった。
藤本は友人の想い人でもあったのだ。
関係を報告しながら、謝罪を入れたこばとに美真は笑った。
『あたし、藤本くんがこばとちゃん好きだってわかってたもん。言ったでしょ、好きな人の大事な人を守りたいって。それに、今ちょっといい人がいるから。』
思い返せばあのとき、美真はそんなことを言っていた。
ということは、気づいていたのだろうか?
そんなことを思いつつも、”同盟”の美真に嫌われずに済んだことがうれしかった。
ちなみに藤本も堂元に似たようなことを言い、同じようなことを返されたらしい。

とにかく恋愛ごとに疎いこばとと藤本は、堂元と美真が付き合っていることをしるのはずいぶんあとのことになる。


そして、3年へと進級した。








続く
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