FC2ブログ

☆藤本×こばと

・・・愛しい人。~それでもそばに~

 ←・・・愛しい人。~消えた記憶~ →・・・愛しい人。~永遠に~






また、あいつの中から俺が消えた。




俺だけが、あいつを想う―・・・










・・・愛しい人。~それでもそばに~








「地界のやつら、か?」




森の奥のバームクーヘン屋で、いおりょぎが低くつぶやいた。




焼きたてのバームクーヘンを手に、うなずいたのは玄琥。




隣で銀生も腕を組んでいた。






「なんだって、こばとがそんなことに・・」




怒りを隠しきれないいおりょぎは、いつも以上に恐ろしい顔で言った。






玄琥の考えは、こうだった。






もともと、天界、異界、地界、そして人間界は別々のもの。




不可侵が原則である。




もちろん、別の世界のものを想うことも、一言で言えばあってはならないことなのだ。




地界のものは天界とも、人間界のものとも交われないものだ。








しかし、こばとは違った。








一度失ったはずの肉体と魂を再生し、さらに愛しい人間とともにいる。






それは、天界や人間界を手に入れることが出来ない地界のものにとって、恨むべきことであった。








つまりは、こばとの記憶は地界のものがこばとを恨んで消した、というのが考えられる理由だった。








「でも、なんで藤本の記憶だけを?むしろ、藤本からこばとの記憶を消した方がよかったんじゃねーか?」




もしもそうなっていたら、俺はこの場に来てないけどな、といいながらいおりょぎは言った。




「確かにそれもあるが・・・。人間に手出しをしたら・・・神が黙っちゃいない。」




こばとは今、人間として生きているが、もともとはそうではない。








「結局、あいつらはまだ幸せになれねぇのかよ・・・。」




悔しそうにいおりょぎがつぶやいて、店を出た。












一方、公園のベンチに黙って座っていたこばとと藤本。






こばとは藤本を思い出そうと必死だったが、藤本にはその行為が無駄であることがわかっていた。




「・・・無理するな、お前は。」




優しくささやいたつもりだったのだが、こばとは申し訳なさそうに小さくなった。






「すみません・・・。」






気にするな、とは言えなかった。






自分だけが忘れられてしまったから。




すべての記憶が消えていればともかく、なぜ自分だけが。




その思いが藤本の心の中を駆け巡っていた。








俺は、どうするべきなんだろうか・・・。




記憶が無くても、こいつはこいつだ。




だけど・・・。




こいつは、俺のことを覚えていない。




想いを、失っている。






「・・あの、藤本・・さん・・・。」




しばらくして、遠慮がちにこばとがつぶやいた。




藤本が黙ってこばとを見ると、こばとは今にも泣き出しそうに言った。




「なんで私、覚えてないんでしょうか・・覚えていないのに・・・藤本さんのそばにいたいって、想うんです・・。でも、




藤本さんは私のせいで傷ついていらっしゃるから・・・いないほうが、いいのかなって・・・。」






私のせいで、といったあたりからこばとの目から涙があふれていた。




藤本は、こばとの涙を何度も見ているが、今回ばかりは自分もこらえられそうになかった。






「ごめんなさい・・・」




こばとが力なくそう言った瞬間―・・・






なにかが、切れた。




もうずっと昔から、誰にも切らせなかったなにかが・・・








「・・・っ!!」






藤本は力一杯こばとを抱きしめていた。








おそらく、こばとに自分の涙を見せないために。








「藤本・・さん・・・。」




こばとは藤本のあまりの力の強さに一瞬戸惑ったが、すぐに藤本の背に手を回していった。




「私が、藤本さんをどう想っていたのか・・・記憶がなくてもわかります・・。きっと、今までの私も、今の私も・・・。」








藤本さんが、好きです。




大好きです。








藤本はそれを聞いて、少しだけ力を抜いた。




それでも、離れることはなかった。






「俺・・・迷ってた。」




涙声で、藤本が口を開いた。




「お前の記憶が無くても、俺はお前が大事だし、関係ないって。」






だけど・・・






それじゃ、今のお前の気持ちを無視することになる。






お前が、ほかの誰かを想うのなんて嫌だったけど・・・。




お前が幸せなら、俺はそれでいい。






「でもお前は・・・また、俺が大事だって、言ってくれた。」




言いながら藤本はこばとを少しだけ動かして、顔を上げさせた。




そして涙を浮かべたまま、少しだけほほえんで言った。






「今日、ホントはお前に言いたいことがあったんだ。」






こばとは慌てて涙を拭いて、なんでしょう、と言った。






少しだけ離れたこばとを再び抱きしめて、藤本が言った。










「ずっと、一緒にいてほしい。俺と。」










後編に続く

関連記事
スポンサーサイト





もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
もくじ  3kaku_s_L.png ★藤本
もくじ  3kaku_s_L.png ★こばと
もくじ  3kaku_s_L.png ☆藤本×こばと
もくじ  3kaku_s_L.png ◇藤本×こばと
もくじ  3kaku_s_L.png ☆和斗×清花
もくじ  3kaku_s_L.png ★いおりょぎ
もくじ  3kaku_s_L.png 藤本家
もくじ  3kaku_s_L.png その他
もくじ  3kaku_s_L.png ・・・不思議。
もくじ  3kaku_s_L.png コメント返し
もくじ  3kaku_s_L.png 記念もの
もくじ  3kaku_s_L.png 裏?
もくじ  3kaku_s_L.png 図書館戦争
もくじ  3kaku_s_L.png 空飛ぶ広報室
  • 【・・・愛しい人。~消えた記憶~】へ
  • 【・・・愛しい人。~永遠に~】へ

~ Comment ~

1 ■無題

ぐぼぉぉ(OДO)☆


めっちゃドキドキっ!!

キュンときました

後編楽しみにしてマスー(´∀`)
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【・・・愛しい人。~消えた記憶~】へ
  • 【・・・愛しい人。~永遠に~】へ