FC2ブログ

◇藤本×こばと

・・・夜桜の呪い。前編

 ←おしらせ →ご協力のお願い。




はじめに注意を




今回の小説は暗いです。




おk??




















開くドアの音が、おそろしいくらい響いて。




長い髪をひるがえした誰かが、俺をたったひとり残してそのドアを出て行く。






あの日の夢。




だけど、アレは母ではない・・・気がした。






あれは・・・。


















・・・夜桜の呪い。










「え・・・?」




夜桜が舞う、春の夜。




こばとは少し前をうつむいて歩く藤本が言ったことばをうまく聞き取れずに聞き返した。




ただでさえ暗くてわからない表情が、うつむいているせいでさらにわからない藤本が、再び言った。






「・・・俺たち、少し離れないか?」






藤本はそれだけ言って少し早足になった。




あまりに突然で、理解するのに手間取ったこばとが足を止めた。






「あの、それって・・・お別れしようってことですか?」






少しだけ震える声を、なるべくおさえてこばとは聞いた。




少し先でゆっくり立ち止まり、藤本は暗闇でもわかるようにうなずいた。












それから2ヶ月、こばとと藤本は一切会っていないのだった。










「おい、藤本。いいからワケ言え、ワケ。」




窓枠に偉そうに腰掛けたいおりょぎが、せかすように言った。




視線の先で藤本は、書類を広げて忙しそうにしていた。




「・・ワケって・・。忙しいからだよ。」




書類から目を離さずに、藤本は投げつけるように言った。




いおりょぎはそれが本当のワケではないことを知った上で、続ける。




「忙しいってお前、夜はぼけっと外見て考えてるしよ。」




藤本は手を止め、ため息をつく。




「なんで俺はお前に監視されてるんだ?」




イライラして、というよりは純粋な疑問のように聞いた藤本にいおりょぎは答えた。






「・・・今のこばとのそばにいると、俺どうにかなりそうだぜ。まったく。毎日毎日どんよりしててよ・・。あいつ最近、




ほとんど笑わねーし・・・。」




ぬいぐるみのやわらかい身体がくんにゃりと曲がって、腕を組んだ。




笑わない、と聞いた藤本が再び手を動かしはじめた。




「なにが、あった?忙しいからこばとを突き放すほど、お前は冷酷な奴じゃねーよな?。」




表には見せない藤本の優しさを感じ取ったいおりょぎが諭すように聞いた。




「別に、説教しに来たんじゃねーんだ。ただ・・・」




こばとの笑顔は、お前じゃなきゃ取り戻せねぇ・・。




俺じゃ、駄目だから。








「・・・泣いてるのか?あいつ。」






小さく、弱くつぶやいた藤本にいおりょぎは首を振った。




「・・泣いてねぇよ。ただ、笑わないだけだ。」














「・・・怖いんだよ。」








手を止めて、ペンを置いた藤本が、ようやく口を開いた。




「怖いって、なにがだ?」




こばとはもういなくなったりしない。




生まれ変わって、この世界に生きているごく普通の人間になったのだから。






それでも・・・






「最近、夢を見るんだよ・・・。」






ゆっくりと、藤本は話しだした。






俺が、母親に捨てられたあの日のこと。




朝家を出て行く母親が言ったことばは、「いってきます」ではなかった。




振り向いて、黙って手を振った母親。




幼い俺は、なにも知らずに手を振りかえした。






7歳のクリスマスイブ。






「その母親が・・・最近はこばとに変わってて。いつかあいつも、俺を捨てるんじゃないかって。」




また、捨てられるかもしれない。




それが怖い・・・






「別れが、怖いってか・・・。それはお前だけじゃないはずだ。こばとだって・・・同じだ。」




いや、はっきりいって藤本以上かもしれない。






前世で大事な人と別れ、生まれ変わるチャンスの間にも別れ・・・。






そして今、やっとめぐり会えた大事な奴とも別れているのだから。








「こばとのこと、嫌いになったわけじゃねーなら、それだけでも伝えてやれ。じゃあな。」




いおりょぎが勢いよく立ち上がり、窓の外へ飛び出した。






一方こばとは、いつもならとっくに眠っている時間まで起きていた。




眠れない、と言った方が正しいかもしれない。






目を閉じても、浮かぶのは大好きな藤本のことだけ。




大事なのに、今は考えたくない。




それがこばとにはつらかった。








藤本さん・・・。




私のこと、嫌いになったんでしょうか・・・。




きっとそうですね・・・。




私、トロいから・・・。






こばとは心の中でつぶやいて、ゆっくりと目を閉じた。








涙は、こぼれなかった。








その夜、こばとは夢を見た。












夜桜の下で、黒い影が揺れている。




姿は見えないのに、こばとは逃げ出したくなる。






怖い・・・




怖い・・・






どんなに走っても、黒い影はついてくる。




怖いときにいつも呼ぶ、彼の名前が出てこない。








これはきっと、夜桜の呪い。














後編へ続く












*****コメント*****






また長くなってしまいました・・・。




すいません・・・。




次は琥珀が大事な役目として登場します。

















関連記事
スポンサーサイト





もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
もくじ  3kaku_s_L.png ★藤本
もくじ  3kaku_s_L.png ★こばと
もくじ  3kaku_s_L.png ☆藤本×こばと
もくじ  3kaku_s_L.png ◇藤本×こばと
もくじ  3kaku_s_L.png ☆和斗×清花
もくじ  3kaku_s_L.png ★いおりょぎ
もくじ  3kaku_s_L.png 藤本家
もくじ  3kaku_s_L.png その他
もくじ  3kaku_s_L.png ・・・不思議。
もくじ  3kaku_s_L.png コメント返し
もくじ  3kaku_s_L.png 記念もの
もくじ  3kaku_s_L.png 裏?
もくじ  3kaku_s_L.png 図書館戦争
もくじ  3kaku_s_L.png 空飛ぶ広報室
  • 【おしらせ】へ
  • 【ご協力のお願い。】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【おしらせ】へ
  • 【ご協力のお願い。】へ