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☆藤本×こばと

・・・想い出の人。

 ←・・・桜咲くころ。 →すみません。
大好きな人が、目の前で手をさしのべている。
すぐつかめる場所のはずなのに、届かない。
それどころか、遠ざかって消えてゆく。

行かないで、と叫ぶ声さえ届かないように。




・・・想い出の人。









・・・ばと・・・。

誰かが呼んでいる。
懐かしい声で。

大事だった誰かが、私を呼んでいる。

行かないで・・・
私を置いて、どこにも行かないで。

お願い!




「こばと!」

「・・うさん!」
自分でもわからない誰かを呼びながら、こばとは目を覚ました。
顔の真上に藤本の顔があり、心配そうに頬をたたいていた。
「どうした?うなされてたぞ、お前。」
こばとが身体を起こしながら、藤本は汗だくになっていたこばとの顔あたりを拭いた。
「私・・・誰かが遠くへ行く夢を・・・。あれは・・・」

思い出せそうで、思い出せなくて。

思い出してはいけないような気もするが、思い出したい。

こばとは膝を抱えてうなった。
「私にとって、大事な人で・・・えっと・・・。」
いつもボケボケしているこばとの、いつものド忘れだと思った藤本はベッドに腰掛けて水を差しだした。

「ほれ、飲め。こばと。」
振り向いて、差し出す左手・・・
振り返る、誰かと・・・


重なる



「・・・!!!」

こばとは、藤本が差し出した水を受け取る前に叫んだ。
「・・うさん・・・。お父さん・・!!!」
叫びながらこばとは、勢いよく藤本にしがみついた。
藤本はこばとが受け取らなかった水をこぼさないように机に置いた。

「こばと?どうかしたのか?お父さんって・・・」

理由はわからないけれど、藤本はこばとを優しく抱きしめた。
まずは落ち着かせなくては、と思ったのだろう。
ふるえながら泣き続けているこばとの背中を、ゆっくりとたたきながら藤本は待つ。
やがて、落ち着きはじめたこばとが静かに語り出した。


「藤本さんは、私が本当は生きている人間ではなかったこと、ご存じですよね。」

ああ、と答えながらあの夜のことを思い出す。
はじめてこばとが帽子を取ったその下には、透き通った王冠のようなものがあった。
動いてしゃべるぬいぐるみに、こばとは死んでいる、と聞かされた。
さらに、生きなおすチャンスを、俺といるために捨てたことも。
すべてを知って、すぐに記憶を失って・・・。

こばとは、行ってしまったのだった。

「私、気がついたらもうお母さんはいなくて。お父さんと二人で暮らしてました。」
お父さんはピアノが上手で、髪が長くて、優しくて。

大好きでした。

こばとが再び泣きそうになったので、藤本はまたゆっくりと背中をたたいた。

それで落ち着いたのか、涙を一粒ほどこぼしただけで、こばとは話を続けた。

「でもある日、お父さんが出かけているとき、私は死んでしまったんです。」
ほんのちょっとしたことで、とつけたして、こばとは藤本の服を強く掴んだ。
「急に雷みたいな光に包まれて。後できいた話だと、お父さんもそのとき・・・」
こばとが言うのをためらうように語尾を弱めた。
藤本が言わなくていい、と言うと、こばとはうなずいた。
「藤本さんは、私のお父さんの生まれ変わりなんです。だから、はじめからなにかを感じていたんです。」

少し前にいおりょぎから同じ事を言われていた藤本は、特に驚きもせずそれを聞いていた。
「こばと。ほれ。」
藤本が腕の中のこばとに右手を差し出した。
こばとがきょとんとしているので、説明を付け足した。
「さっき寝言で、行かないで、とか何とか言ってたから。行かないように、つかんどけ。」
こばとは、嬉しそうに微笑んでその手を掴んだ。


夢の中で掴めなかったその手を、掴めた。
大事な人は、生まれ変わってここにいる。
だから、大丈夫。

「藤本さん。一度だけ、お父さんしてください。」
知らない人が聞いたら意味不明の発言だが、察した藤本はうなずいた。
そしてこばとは一度藤本から離れ、正面から藤本を、父を見つめる。




「大好き!お父さん!!」
飛び込んできたこばとを、子供のように抱きしめて、藤本は言った。
「わかってる。俺も、大好きだよ。」
少しは父に近かっただろうか、と思いつつ、恋人の顔とはまた違う笑顔のこばとを見て、藤本も笑った。

お父さん。
生まれ変わっても、私たちは大事な人同士だね。


ずっと、手を離さないからね。





*****コメント*****
こばとでも、お父さんには敬語じゃないですよね・・・(不安)
いやあ、結局お父さんのことがあんまりなかったんで・・・
こんなかな?と。
いろいろつっこみはあるでしょうが長い目で見てください!!
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~ Comment ~

1 ■いぃデス

モォ~
駄目デス
な・涙で、読めませんデシタ。
い・今も思い出すと涙がぁ・・

2 ■Re:いぃデス

>りっぷさん
コメントありがとうございます。

貴重な涙をありがとうございます(?)
なんかいきなり思いついてささっと書いちゃったので意味不明でごめんなさい・・・。
やっぱり愛は大事ですよね(?)
家族愛と恋愛はちょっとにてるかな?と思って書いてみましたw
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