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・・・不思議。

・・・不思議。~小さい手~

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「こばとー!」

病院の廊下は静かに歩いていた小春だが、こばとの病室へ入ると途端に駆けだしてしまった。

「小春ちゃん!」

幸いこばとの病室は個室だったため、誰かの迷惑にはならない。

呼ばれたこばとも嬉しそうに抱きつく小春を抱きしめた。



・・・不思議。~小さい手~



「ねぇこばと。いつおうちに帰ってくる?」

ベッドの脇に用意されたいすには座らず、小春はベッドに座った。

さすがに清和はベッドには座らず、いすを引っ張り出して座った。

「もうすぐですよ。たぶん、あと一週間もすれば帰れます。」

もしかしたら、こばとは今現在、痛みと闘っているのかもしれない。

いつもと少しだけ違う笑顔を見て、清和は思った。


小春が来てくれたから、無理して笑ってるんだろうな。


無理をするなと言っても、絶対に聞かない妻であることは大昔からわかっていたことだが。


「こばとちゃん。」

ふと後ろから声がかかり、花を抱えた清花と千歳が入ってくる。

千世と千帆も千歳の後ろから入ってきて、こばとのベッドに駆け寄る。

「みなさん、来てくださったんですか?ありがとうございます。」

こばとが再び、笑顔を作る。

おそらくその笑顔を見て気づいたのだろう、清花と千歳が小さく目配せして言った。

「小春ちゃん。今日、うちに泊まりに来ない?優斗と早樹が会いたいって言ってるの。」

清花が小春の頭をなでながら清和にも目配せをする。

そろそろだから、小春を預かってくれると言っているのだろう。

小春はうなずいて、清和に、いい?と聞いた。

「ああ。いい子にしてろよ。」

小春は大きくうなずいて清花の手を取った。

空気を読んだのか、千世と千帆が小春の前にしゃがみ込み、同時に言う。

「小春ちゃん、あたしたちとお手々つなごう!」

小春は素直に清花の手を離し、千世と千帆に両手を預けた。

ロビーにいるね、と伝言し、3人が出て行ったあとで。

「清花さん、すみません。お願いします。」

小春が出て行った途端、笑顔が消えてしまったこばとが小さく言った。

「いいのよ。それよりこばとちゃん、頑張ってね。」

清花が言うと、こばとは小さく、しかししっかりとうなずいた。

「清和くんは、そばにいてあげてね。」

千歳がからかうように言って、清花とともに病室を出て行った。

「わかってます。だから小春を頼んだんです。」

聞こえているのかいないのかわからなかったが、そうつぶやいた。


「清和さん、家にいてもいいんですよ?私は大丈夫ですから・・。」

少し痛みが和らいだのか、こばとが身体を起こしてベッドの端に座った。

清和もいすから立ち上がってこばとの隣、ベッドの端に座る。

「いや、もう今日あたりだろうし。いたら迷惑か?」

小春の時は仕事中に生まれてしまったため、こばとを支えてやれなかった。

正直、それが悔しかったのだ。

「迷惑じゃないです!!・・むしろ・・あの・・」

安心できます、だからいてください・・・。

最後はもう弱々しく、ほとんど聞き取れなかったが、清和にはそう聞こえた。


「・・ふえっ!?」

こばとがいきなり奇声をあげた。

清和がこばとを引き寄せて、軽く抱きしめたからだ。

こばとは一瞬驚いたようだが、すぐに微笑んだ。

「・・・はじめて清和さんから抱きしめてくれました・・。」

こばとが嬉しそうにそう言ったので、清和はえっ、と聞き返した。

「いつも私から抱きついて、受け止めてくれるのは嬉しいんですけど・・。たまには、ね?」

いたずらっ子のように清和を見上げ、反応を待つこばと。

清和は照れながら言い返した。

「でも・・・キスは俺からしてるから、おあいこだろ?」

ああ、個室でよかった。

清和はそう思って、ため息をついた。

たとえ個室でなくても、このくらいはしたかもしれないが。

こばとが今言ったことを、聞かれたら恥ずかしい。

それに、同じ部屋に誰かがいたら、俺だってこんな返事できない。

と、気がつくとこばとが小さくふくれていた。

「だって~・・・清和さん背が高いから、私背伸びしても届かなくて・・・。」

そうだった。

こばとは、俺に届かないんだな。

とはいえ、俺が座ってるときとかなら・・・

と考えてしまう自分が恥ずかしくて、清和はこばとをさらに抱きしめた。


「こんな小さい手で、俺を助けてくれるんだもんな、お前は。」


抱きしめられたまま、投げ出されていた手を取って清和が言う。

「えっ、助けるって、私が?」

驚いたこばとが言うと清和はうなずいた。

「俺を大事だって言ってくれて、支えてくれて。」

抱きついてくるこばとを、受け止めてやることしか出来ない俺なのに。

いつも素直になれなくて、お前を泣かせたり傷つけたりしてるのに。

「こんな小さくて弱くて、泣き虫で恐がりなお前に助けられてばっかだ。俺は。」

少し皮肉を込めてそう言うと、こばとがむくれた。

「だから清和さんにいてほしいんです~私は弱いんですから~」

言いながらこばとが動いた。



そして。



「・・こばと?」

「今日は清和さんからぎゅってしてくれたから、私も。」

照れたようにうつむいたこばとがかわいくて、そして嬉しくて。


その小さな手を握って、清和は言った。

「頑張ってくれ、こばと。俺、見守ってるからな。」

俺の、守るべきモノ。


大きくうなずいたこばとを、清和はまた強く抱きしめた。








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