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・・・恋のたたかい。

・・・恋のたたかい。~好き~

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好きって気持ちはこんなにも温かくて重たくて。

しあわせになれる気持ちなのに、どうして。

あの人の”好き”は、なにかが違って・・・



・・・恋のたたかい。~好き~



「そろそろ帰るか?こばと。」

少しずつ疲れてきた様子のこばとに、藤本が言う。

あの無愛想な藤本が連れてきた女の子、としてこばとは周りからかなり声をかけられたのだ。

「ちょっと疲れましたけど、大丈夫です。藤本さん、みなさんとお話ししてていいですよ。」

小さく笑ってこばとはいすに座り込んだ。

こばとはもう話すのも疲れたようだった。

とはいえ、こんなところでこばとを一人にしたら・・・


変な虫がつくのは間違いない。


「・・・いい。ここにいる。」

不機嫌そうに言い、藤本はこばとの隣に座る。

理由はよくわからないこばとだったが、そばにいてくれる彼の存在が嬉しかった。

「・・ありがとうございます。藤本さん。」



「こばとちゃん。ちょっと二人で話さない?」

藤本と二人で座って話していたとき、先ほど覚えたばかりの声にそう言われた。

顔を上げると、黒髪美人の律子が愛想よく笑って立っていた。

「えっと・・?」

こばとは困ったように藤本を見つめる。

「ほら、藤本くんもみんなと話さないと。こばとちゃん、あたしが守ってるから大丈夫よ。」

勢いに押されるように藤本は立ち上がり、少しだけ、と歩いていった。

愛想のいい律子の笑みと、昔から知っている安心感からか、藤本はなんの疑いもなくこばとを預けた。



こばとに背を向けた律子の、黒い微笑みに気がつかないまま。




「あの、律子さん・・・。なにか・・?」

友人の彼女と話したいなどという女はめったにいない。

なにか裏があると考えるのが普通なのだろうが。

知り合いか、もしくは恨みか。


彼女の場合は、その悪い場合だったのだ。


「あんたは、彼にふさわしくないわ。」

藤本の姿が完全に見えなくなってから、先ほどとは打って変わって恐ろしい声で律子は言った。

とっさに意味を理解できなかったらしいこばとは、不審な顔で立ち上がる。

「彼って、藤本さんですか?私は・・・」

律子のほうに、一歩進み出たこばとの腕を強引に掴んで律子は外へ出た。

彼とはまた違う強さに、意味がわからないながら恐怖を感じた。

「・・律子さん!?」

建物のかげに連れ込まれ、壁に押しつけられる。


「言ったでしょ。あんたは彼にふさわしくない。」

さすがのこばとも意味を理解し、不安げに言い返す。

「なんでですか?私は藤本さんが好きです!」

律子は鋭く目を光らせ、こばとの頭の横に手をついた。

「だから何?あたしだって好きよ。あんたより、ずっと好きよ。」

それに、と律子は続けた。


「藤本くんくらい頭がいい人には、あたしみたいな美人があうに決まってるわ。」


あんたみたいなドジでかわいいだけの役立たずな女よりね。


要するに、律子は藤本が好きで、故にこばとが邪魔だと。


自信ありげにそう言い残し、律子は立ち去ろうとする。

今にも泣き出しそうなこばとはなにも言えずに立ちつくす。

「そうだ。あたし、あんたから彼を奪うわよ。宣言したんだから、嫌だったら阻止してみたら?」

勝負前から勝ち誇ったように、律子はヒールの音を響かせて店に戻っていった。


まるで、こばとが藤本に告げ口できないと知ったかのように。

そして、絶対にこばとに勝ち目がないというように。


「・・私は・・藤本さんが・・・」

一人残されたこばとは、ただ溢れそうになる涙をこらえて、そうつぶやいた。


彼を好きなのは、自分だけではなかった。

どうしていままで思いつかなかったのだろう。

彼を好きなのは自分だけで、自分を好きなのも彼だけだと、自然に思いこんでいた。


奪う・・・

彼が、あの人のものになってしまう?

でも、彼はもしかしたら、それを望んでいる・・?



嫌・・・

嫌です・・・。


耐えきれなくなって、壁に背中をこすりつけるようにして座り込む。

頭の中で、藤本と律子が並んで笑った。



文句なしに、”お似合い”だった。




「っ・・藤本さっ・・私っ・・だっ、で・・」

浮かぶ姿をかき消すように、こばとは頭をぐちゃぐちゃにしてつぶやいた。


藤本さん・・私じゃ、似合わないですか?

私のこと、好きじゃないですか?


そばにいたら、いけませんか?


聞くのが怖い質問を、頭の中で繰り返す。

返ってくる答えは、すべて絶望ばかりで。

なにもかも、悪い方向へ行ってしまう。


こばとは、その場にいない彼の名を、何度も呼んだ。





続く
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