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・・・恋のたたかい。

・・・恋のたたかい。~行かないで~

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なにがどうしたのか、わからない。

ただ何かに怯えて怖がって、泣いている彼女をどうしたらいいのか。

いったい何に、それほど怯えているのか。



・・・恋のたたかい。~行かないで~



「こばと・・・。」

いつも通りに、名前を呼んだだけで。

いつも通りに、髪に触れただけで。

うつむいたままびくっと体をはねさせ、固まる。

なにがあったのか、などとはとても聞けない。

藤本はあきらめたように深いためいきをついて言った。

「わかった、言わなくていいから。もう寝ろ。」

こばとの髪をわしゃわしゃなでて、藤本は風呂場へ向かう。

こばとはうつむいたまま、はい、と力なく返事をした。


なんかしたか?俺。

風呂場で服を脱ぎながら、藤本は一人考えた。

俺がこばとを一人にしたからか?

いや、でも律子がいたし。

こばとは結構ヤキモチ妬きなところあるしな。


うなりながら湯船につかり、ためいきをつく。


悪いけど、俺には理由わかんねーぞ・・・

怒るならともかく、怯えるようなこと・・・したか?


頭でずっと考えながら、顔を洗い頭を洗い、体を洗う。

考え事をしているとぼーっとしてしまう性格は、まだなおりきっていない。

だから、いつもよりそれぞれにかかる時間が長い気もするが、本人は気づいていない。

もう一度深くためいきをついたところで、ふと気づく。


―もしかして、律子・・・・?

脳裏に浮かんだのは愛想よく微笑む女の姿。

確かに、こばとがおかしくなったのは律子に預けたあとだ。

それに。



自分から守ってるって言ったくせに、一緒にいなかったしな・・・


急いで風呂からあがり、髪を拭きながらこばとの元へ。


「こば・・・」



ベッドの上で、こばとがうずくまっていた。

肩は小さく震え、泣いているとわかった。


「・・・と・さん・・」

涙声で、ほとんど何を言ったかわからない状況でも、彼にはわかった。

彼女が、自分の名を呼んだことが。

「お前、やっぱりおかしい!なにがあったんだ!?」

濡れたままのバスタオルを投げ捨て、ベッドに飛び乗る。

そして、震える小さな肩を抱き、自分の胸に導く。

抱きしめられたこばとは、力なく藤本の服にしがみつき、途端に壮大な鳴き声を漏らした。


「う~・・・。藤本さん・・・行っちゃいやですーー!!」


嫌、と藤本さん、を連呼しながらこばとは泣き続けた。

いつもとあきらかに違うこばとに戸惑いながらも、藤本は言った。

「俺はどこにも行かない。お前のそばにいる。だから大丈夫だ。」


なにがきっかけで、こばとがこうなったのかわからない。

しかしこばとは、恐れている。


自分がいなくなることを。

そんなこと、絶対にないのに。


「約束する。俺はこばとのそばにいる。ずっといるから、安心しろ。」

こばと以外の人には決して出さない優しい声で、ささやいた。

抱きしめる腕にも自然と力が入り、こばとがやっと落ち着いてきた頃。


「藤本さんにとって、私は一番ですか?」


消えそうなか細い声で、うめくように言った。

一瞬不意を突かれた藤本が、ゆるめかけた腕に再び力を入れ、言った。


「当たり前だ。こばとが一番で、二番なんかいない。」

それを聞いたこばとは、力尽きたのか、藤本の腕の中で眠ってしまった。

少しだけ、微笑むように眠ったこばとを見て、藤本はようやく安堵のためいきをつく。



間違いない。

律子が、あの愛想笑いだけの女が、こばとになにかした。

もしそれが本当なら、容赦はしない。


俺の一番を、傷つけたのなら。




続く

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